まずは、損益計算書の分析について見ていきましょう。
損益分岐点
計算方法
売上高と費用が同じで利益が0の状態となる売上高を言います。
例えば、売上100、費用が100で、結果利益が0という感じです。
損益分岐点は下記の公式で求めることができます。
損益分岐点=固定費÷(1–変動費÷売上高)
それでは具体的に見ていきましょう。
売上高1,000
変動費600
固定費100
100÷(1−(600÷1,000)
=100÷0.4
=250
∴損益分岐点売上高は250となります。
限界利益から算定
損益分岐点は、限界利益から求めることもできます。
下記の流れで損益分岐点利益を求めることができます。
①限界利益
限界利益=売上高ー変動費
②限界利益率
限界利益÷売上高
③損益分岐点売上高
固定費÷限界利益率
変動損益計算書
変動損益計算書は、費用を
- 毎月変動する「変動費」
- と毎月変わらない「固定費」
に分けられたものです。
損益利益風にわかりやすくすると、以下のようになります。
売上高 |
変動費 |
限界利益(売上高−変動費) |
固定費 |
経常利益(限界利益−固定費) |
配当性向
利益をどの程度株主に還元しているかを示す指標です。
数字が高いほど還元してるとされ、適正な目安は30%とされています。
計算方法は以下の通りです。
配当金÷当期純利益
資本利益分析
資本でどのぐらい利益を出せたかの指標を見ていきましょう。
総資産利益率(ROA)
会社の全ての資産を使って、効率的に利益を出しているかを表しています。
計算方法は、下記の方法によって求められます。
数字は高いほど良いとされ、5%以上で優良企業と言えます。
当期純利益÷総資産
コメント
売上あり財務諸表的に良い企業でも、投資をしなければキャッシュによって分母である総資産が膨み、ROAが下がります。
うまくいってる会社+人・設備等に積極的に投資をしている会社
がこの数値を押し上げると考えられます。
自己資本利益率 ROE
株主から預かった資本を使って、効率的に利益を出しているかを表します。
計算方法は、下記の方法によって求められます。
数字は高いほど良いとされ、8%以上で優良企業と言えます。
当期純利益÷純資産
次に貸借対照表の分析方法を見ていきましょう。
安全性分析
安全性分析とは、企業の支払能力を測定するものです。
それでは1つづつ見ていきましょう。
流動比率
流動比率は、以下の方法で求めます。
流動比率=流動資産÷流動負債
1年以内の短期的な返済能力を示します。
200%以上が理想とされています。
固定比率
固定資産÷自己資本
数値が低いほど良いとされ、100%以下が理想とされています。
自己資本比率
自己資本÷総資産
数値が高いほど、リスクが低いとされています。
また、自己資本は、「株式資本+その他の包括利益累計額」
になります。
コメント
株式資本
株主資本は、下記の合計で、株主資本合計の金額になります。
純資産の部 | |
株式資本 | |
資本金 | XXX |
資本剰余金 | XXX |
利益剰余金 | XXX |
自己株式 | (△)XXX |
株主資本合計 | XXX |
自己資本
自己資本は、株式資本+その他の包括利益累計額
になります。
純資産の部 | |
株式資本 | |
資本金 | XXX |
資本剰余金 | XXX |
利益剰余金 | XXX |
自己株式 | (△)XXX |
株主資本合計 | XXX |
その他の包括利益累計額 | |
その他有価証券評価差額金 | XXX |
繰延ヘッジ損益 | XXX |
為替換算調整勘定 | XXX |
退職給付に係る調整累計額 | XXX |
その他の包括利益累計額合計 | XXX |
純資産
純資産は、株式資本+その他の包括利益累計額+新株予約権+被支配株主持分
となります。
純資産の部 | |
株式資本 | |
資本金 | XXX |
資本剰余金 | XXX |
利益剰余金 | XXX |
自己株式 | (△)XXX |
株主資本合計 | XXX |
その他の包括利益累計額 | |
その他有価証券評価差額金 | XXX |
繰延ヘッジ損益 | XXX |
為替換算調整勘定 | XXX |
退職給付に係る調整累計額 | XXX |
その他の包括利益累計額合計 | XXX |
新株予約権 | XXX |
被支配株主持分 | XXX |
純資産合計 | XXX |
効率性の分析
総資産回転率
総資産が効率的に売上を生み出したかを表す指標です。
数字が高いほど効率が良いとされています。
計算方法は下記となります。
売上高÷総資産
売上債権回転月数
売上債権の回収の効率を表す指標です。
数字が小さいほど売上債権の回収効率が高いとされます。
期末売掛金+期末受取手形)÷(売上高÷※12月(または365日))
※12月で割ると、結果の数字が回収までの月数で求められ、365日で割ると、回収までの日数が求められます。
在庫回転期間
在庫を販売するまでの期間を表す指標です。
数字が小さいほど売上債権の回収効率が高いとされます。
棚卸資産÷(売上原価÷※12月(または365日))
※12月で割ると、結果の数字が回収までの月数で求められ、365日で割ると、販売までの日数が求められます。