はじめに
キャッシュ・フロー計算書で直接法と間接法の営業活動によるキャッシュ・フローの小計はなぜ一致するのか。
結論からいうと、直接法C/Fでは、現金の動きを計上しているのに対し、税引前当期純利益から始まる間接法では、営業外損益、特別損益を除去して営業活動によるキャッシュ・フロー(営業利益)まで導いた後、各項目において現金の動きのないものは除去し、現金の動きを計上しているので、一致するといえます。
これを見ていきます。
記事を
①営業収入
②商品仕入
③人件費支出(退職給付引当金、給与・賞与)
④その他営業支出、間接法のみの調整
の4記事に分けています。
本記事では、④その他営業支出、間接法のみの調整を記述します。
資料
その他の営業支出
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
その他の営業支出 | 40 | 現金預金 | 40 |
直接法
その他営業支出は40なので、直接法にあてはめます。
現金の支払なので、マイナス計上となります。
間接法
間接法はすでに税引前当期純利益に含まれています。
お金の動きがある仕訳なので、何も手を加えることはしません。
結果、下記のようになりました。
残りは、間接法の調整のみです。
調整すべきは、
・減価償却費
・貸倒引当金の増減額
・棚卸資産の増減額
となります。
減価償却費
仕訳は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 500 | 減価償却累計額 | 500 |
となります。
減価償却は、現金預金の動きはないため、除去します。
減価償却費は費用なので、除去するということはプラス要因です。
貸倒引当金
仕訳は、
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 50 | 貸倒引当金 | 50 |
となります。
現金預金取引のない貸倒引当金繰入分を除去します。
貸倒引当金繰入は費用なので、除去するということはプラス要因です。
棚卸資産
期首商品棚卸高
仕訳は、
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 1,100 | 繰越商品 | 1,100 |
となります。
期首商品棚卸高と期末商品棚卸高の仕訳は、現金取引のないため除去します。
期首商品棚卸高の振替は、資産の商品を、仕入に振替える仕訳です。
仕入は費用なので、除去するということはプラス要因です。
期末商品棚卸高
仕訳は、
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
繰越商品 | 900 | 仕入 | 900 |
となります。
期末商品棚卸高は費用のマイナスなのでプラス要因です。プラス要因を除去するということはマイナス要因となります。
期首棚卸資産と期末棚卸資産 合算
以上のことから、
期首商品棚卸高-期末商品棚卸高
となります。
まとめ
以上、4記事にわたって直接法、間接法の営業キャッシュ・フローの小計まで一致するかを見ていきました。
結果、下記のように一致しました。