キャッシュ・フロー計算の間接法では、棚卸資産と、仕入債務を一緒に考えていきます。
はじめに
債務支払高
最初に下記の式で債務支払高はマイナス(△)表示となります。
仕入は、債務の支払いが現金の動きとなり、支払うのでマイナスとなります。
債務の流れは下記のようになります。
債務支払高にマイナス表示をしないとどうなるでしょうか。
前期末債務100、仕入高は0、当期末債務50、債務支払高はわからないのでXとして考えていきます。
100+0-X=50
→-X=50-100
→X=50
となり、債務支払高は50となりました。
このため、債務支払高はマイナスとなります。
売上原価
この場合、税引前当期純利益には、売上原価が計上されていることになります。
前期末商品棚卸高+仕入-当期末商品棚卸高=売上原価
それでは、実際に見ていきます。
わかりやすく、取引は仕入と仕入債務の支払いだけとします。
債務支払高 算定
仕入は、債務の支払いが現金の動きとなり、支払うのでマイナスとなります。
債務の流れは下記のようになります。
それでは、実際に数字を当てはめていきます。
BSから前期末債務は100、当期末債務は200、PLから仕入高(当期仕入債務)500で、債務支払はわからないのでXとします。
100+500-(△)X=200
-(△)X=200-100-500
(△)X=400
X=△400
で債務支払は400となりました。
なぜ棚卸資産、仕入債務の増減額を計上するのか
ここで、間接法のキャッシュ・フロー計算書を見ていきます。
税引前当期純利益から始まる間接法は、税引前当期純利益にすでに売上原価490を含んでいることがわかります。
このままだと、上記で求めた、債務支払高490と一致していません。
そのため、調整が必要になります。
それでは、もう一度債務の流れを見ていきます。
前期末債務+当期仕入高-(△)債務支払高=当期末債務
→(△)債務支払高=当期仕入高+前期末債務-当期末債務
→債務支払高=(△)当期仕入高+(△)前期末債務-(△)当期末債務
→債務支払高=(△)当期仕入高+(当期末債務-前期末債務)
となり、債務支払高は、
①(△)当期仕入高
②(当期末債務-前期末債務)
の2つを合算したものとなります。
①当期仕入高
当期仕入高の計上方法を見ていきます。
前期末商品棚卸高+(△)当期仕入高-当期末商品棚卸高=(△)売上原価
→当期仕入高=売上原価+前期末商品棚卸高-当期末商品棚卸高
税引前当期純利益に売上原価が計上されているので、
→当期仕入高=490+前期末商品棚卸高-当期末商品棚卸高
ということは、当期仕入高を算出するには、
前期末商品棚卸高-当期末商品棚卸高
を計上すればいいということです。
そのため科目は、
棚卸資産の増加額
となります。
そして、公式に当てはめると、
前期末商品棚卸高10-当期末商品棚卸高20 で、
△10となります。
②仕入債務の増減額
②前期末債務-当期末債務は、間接法のキャッシュ・フローの仕入債務の増減額となります。
前期末債務は100で、当期末債務は200で増加しています。
科目は、
仕入債務の増加額
となります。
そして、数字は
上記でみたように、当期末債務-前期末債務でもとめます。
資産の時と逆になることに注意してください。
実際に数字を当てはめてみます。
当期末債務200-前期末債務100 で
100となります。
結果、下記のように小計の数字が、債務支払高と一致しました。