概要
個別決算と合併財務諸表
本支店会計として、本店・支店別で個々の損益を求める個別決算と、本店と支店を合算する合併財務諸表があります。
本記事では、本店と支店を合算する合併財務諸表を見ていきます。
合併財務諸表の流れ
本支店会計の決算時における処理の流れを図にしました。
前提条件
未達取引
本支店間不一致
下記のように本店、支店間で不一致が生じています。
未達取引
不一致の原因として、本店から支店へ売上100が、支店側で未着のため未仕訳
支店側
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
本店より仕入 | 100 | 本店 | 100 |
本支店間一致
未達取引の仕訳を行った結果、下記のように一致しました。
売上原価算定
本店の期末商品:250
支店の期末商品:165(すべて本店からの仕入分)
本店は支店売上時に10%利益を乗せて販売している。
本店
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 200 | 繰越商品 | 200 |
繰越商品 | 250 | 仕入 | 250 |
支店
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 100 | 繰越商品 | 100 |
繰越商品 | 165 | 仕入 | 165 |
減価償却費
定額法で残存価額はゼロ、5年処理。
本店
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 80① | 減価償却累計額 | 80 |
①400÷5(販管費へ)
支店
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 40① | 減価償却累計額 | 40 |
①200÷5(販管費へ)
本店・支店間の仕訳消去
相殺
本支店間の科目を相殺により消去します。
本支店勘定相殺
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
本店 | 500 | 支店 | 500 |
本支店間取引相殺
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支店へ売上 | 400 | 本店より仕入 | 400 |
相殺後
本支店間の相殺後下記のようになりました。
内部利益
内部利益消去
決算整理後残高試算表に繰延内部利益10が残っています。
これを仕訳により消去します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
繰延内部利益 | 10① | 繰延内部利益戻入 | 10② |
①繰延内部利益が残っているための消去仕訳
②相手科目。期首商品棚卸高からマイナス
期末商品の内部利益
本店は支店に10%の利益を乗せて販売しております。
現在、支店の期末商品棚卸高165あり、これはすべて本店からの仕入となっております。
すなわち、支店の期末商品に本店の利益分が乗せてあるため、これを控除しなければなりません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
繰延売上利益控除 | 15① | 繰延売上利益 | 15② |
①165×0.1÷1.1
本店が支店に売上時に利益を乗せてあった期末商品の利益分。
PLの期末商品棚卸高から控除します。
②BSの商品から控除します。
本支店合算
最後に、科目ごとに本支店の数字を合算し、合併損益計算書、合併貸借対照表を作成します。
合併損益計算書
PL科目内訳
売上: 1,700=本店1,100+支店600
仕入: 700=本店550+支店150
販管費: 620=本店430+支店190
当期純利益490=収益(売上1,700)-費用(仕入700+販売費620)
合併貸借対照表
BS科目内訳
売掛金:1,410=本店1,000+支店410
繰越商品:400=本店期末商品250+支店期末商品150
機械: 600=本店400+支店200
買掛金:760=本店450+支店310
減価償却累計額:△120=本店△80+支店△40
繰越利益剰余金680=当期首残高360+当期純利益320