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キャッシュ・フロー計算書 直接法


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はじめに

キャッシュ・フロー計算書の直接法と間接法は、下記の図のように営業キャッシュ・フローの小計までが異なり、小計以降は同じ様式・計算方法になります。

本記事では、直接法の小計までをみていきます。

CF直接法 全体像

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資料

10CF非資金項目 BS

11CF非資金項目 PL

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営業収入

債権残高の流れは、

前期末残高+当期売上に対する債権-貸倒引当金-債権回収=当期末残高

となります。
この債権回収がキャッシュ・フローの営業収入になります。
それでは実際に見ていきます。


前期末金額、当期末金額

貸借対照表で債権をみると、売掛金があり、前期末2,500で当期末は2,995となっています。

20キャッシュフロー 直接法 BS(営業収入)

2,500+当期売上に対する債権-貸倒引当金-債権回収=2,995


当期売上に対する債権

損益計算書を見ると、売上は10,000です。
売上は全て債権で発生すると考えます。

21キャッシュフロー 直接法 PL(営業収入)

これを仕訳でみると

借方 金額 貸方 金額
売掛金等 10,000 売上 10,000

となり売上から、当期発生債権(売掛金)の増加がわかります。

2,500+10,000+前受金-貸倒引当金-債権回収=2,995


貸倒引当金

貸倒引当金の仕訳の流れは下記になります

貸倒時
貸倒引当金 XXX / 売掛金等 XXX
期末
貸倒引当金繰入 XXX / 貸倒引当金 XXX

期末
P/Lから下記の仕訳が行われたことがわかります。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入 50 貸倒引当金 50

23CF直接法 営業収入 貸引PL

22CF直接法 貸引BS

期末で貸倒引当金が50増えたにも関わらず、B/S貸倒引当金では、
-75-(-30)=-45
で45しか増えていません。
差額の5は貸倒が起こったと考えられます。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 5 売掛金 5

これで、当期発生貸倒引当金がわかりました。
それでは、式に5をあてはめます。

2,500+10,000-5-債権回収=2,995


債権回収算定

債権回収以外は数字が当てはまりました。
債権回収をXとして求めます。
2,500+10,000-5-X=2,995
-X=2,995+5-2,500-10,000
→X=9,500
結果営業収入は、9,500となりました。

29CF営業収入 完成

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原材料又は商品の仕入支出

債務残高の流れは

前期末残高+当期仕入に対する債務-債務支払=当期末残高

となります。
この債務支払がキャッシュ・フロー計算書の原材料又は商品の仕入支出になります。
それでは実際に見ていきます。


前期末残高、当期末残高

貸借対照表で債務をみると、買掛金があり、前期末1,600で当期末は1,400となっています。

31CF直接法 商品の仕入支出BS

1,600+当期仕入に対する債務-債務支払=1,400


当期仕入に対する債務

損益計算書を見ると、当期仕入は6,200です。
仕入は全て債務で発生すると考えます。

32CF直接法 商品の仕入支出PL

これを仕訳でみると

借方 金額 貸方 金額
仕入 6,200 買掛金等 6,200

となり仕入高から、当期発生債務(買掛金)の増加がわかります。

1,600+6,200-債務支払=1,400


債務支払算定

債務支払以外は数字が当てはまりました。
債務支払をXとして求めます。
1,600+6,200-X=1,400
→X=6,400
結果債務支払は、6,400となりました。
債務支払は、現金による支払です。
ということは、現金を減らす効果であるので、キャッシュ・フロー計算書での表示は、
原材料又は商品の仕入支出 △6,400
となります。

39CF商品の仕入支出 完成






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人件費の支出

人件費支出は、
・給与、賞与
・退職金
の2つの合計額となります。
それでは最初に給与賞与を見ていきます。


給与賞与

まず、未払が発生する給与賞与の流れを仕訳から見ていきます。
給与は20日締め、25日支払とします。

前期末振替
前年度3月21日~3月31日の未払計上分を戻します。
未払給与 XXX / 給与 XXX

給与現金支給額
給与 XXX / 現金預金 XXX

当期末計上
給与は20日締めなので、3月21日~3月31日の未払分を計上します。
給与 XXX / 未払給与 XXX

上記仕訳から給与の流れをあらわすと、

前期末未払給与(△)+給与現金支給+当期末未払給与=PL給与

となります。

前期末残高、当期末残高
今回の例では、当月末日締め当月末日払いなので未払いは発生しません。
その場合前期末、当期末残高は0となります。

0+給与現金支給+0=PL給与

PL給与
損益計算書を見ると、給与・賞与手当は1,000です。

40CF 直接法 PL(人件費支出 給与賞与)

0+給与現金支給+0=1,000



給与現金支給算定
債権回収以外は数字が当てはまりました。
債権回収をXとして求めます。
0+X+0=1,000
→X=1,000
となります。
結果給与・賞与は、1,000となりました。




退職金

退職給付引当金の流れは、

期首残高+退職給付費用‐退職金支払=期末残高

となります。
退職金支払は

借方 金額 貸方 金額
退職給付引当金 XXX 現金預金 XXX

となり、退職金支払時に現金預金が動くことになります。
このことから退職金支払がキャッシュ・フロー計算書の人件費支出になります。
それでは実際に見ていきます。



期首残高、期末残高
貸借対照表で退職給付引当金をみると、前期末700で当期末は800となっています。

700+退職給付費用‐退職金支払=800

45CF直接法 BS(人件費支出 退職金)



退職給付費用
損益計算書を見ると、退職給付費用は150です。

46CF 直接法 PL(人件費支出 退職金)

仕訳では、

借方 金額 貸方 金額
退職給付費用 XXX 退職給付引当金 XXX

となり、退職給付引当金を増加させることがわかります。

700+150‐退職金支払=800



退職金支払
債務支払以外は数字が当てはまりました。
債務支払をXとして求めます。
700+150-X=800
→X=50
となり、退職金支払いは50となりました。


人件費支出 合計

給与賞与と退職金支払額が出たので、合計します。
給与賞与1,000+退職金50=1,050
人件費支出は、現金を減らす効果であるので、キャッシュ・フロー計算書での表示は、
人件費支出 △1,050
となります。

49CF人件費支出完成






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その他の営業支出

その他の営業支出は、P/Lのその他の営業費になります。
今回の例では、支払時にすべて現金で支払っているものとします。
なので、P/Lその他の営業費=C/Fその他の営業支出となります。
50キャッシュフロー 直接法 PL(その他営業費)

50キャッシュフロー 直接法 PL(その他営業費)