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連結会計 ⑤未実現(固定資産) アップストリーム



連結会計の固定資産、未実現消去の流れを見ていきます。
この記事の仕訳は、本記事の主目的である、未実現消去の固定資産を中心に見ていきます。
またなぜ、未実現利益消去時に税効果会計を適用するかを検証してきます。

それでは仕訳を見ていきます。法定実効税率は40%とします。
連結1(未実現 固定資産)概要

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期中

機械(固定資産)を親会社から子会社に販売

機械帳購入額:100
当期購入したものをすぐに売却したため減価償却費は発生なし。
販売価額:200(利益100をのせて販売)

親会社

借方 金額 貸方 金額
現金 200 機械 100
固定資産売却益 100



子会社

借方 金額 貸方 金額
機械 200 現金 200








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個別 決算時

減価償却費計上

親会社からの取得価額:200
償却方法:定額法、償却年数5年、残存価額0

子会社

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 40① 減価償却累計額 40

①200(固定資産取得価額)÷5(耐用年数)=40




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連結修正

連結2-1(未実現 固定資産)連結修正

固定資産売却益の消去

固定資産売却益100は会社間の取引であるため消去します。

借方 金額 貸方 金額
固定資産売却益 100 機械 100




法人税等調整額の計上(固定資産売却益の消去分)

法定実効税率をかけたものと不一致
連結精算表の税引後当期純利益が212と、税引前当期純利益に法定実効税率40%をかけた税引後当期純利益252と比較すると不一致が生じています。
これは連結修正により、収益を減額したにもかかわらず、法人税等はすでに会社別で確定しているため、変動しないことから不一致が生じています。
連結 未実現1-1(売却益)調整額 不一致

法定実効税率をかけたものと一致
一致させるためには、法人税等調整額を計上します。

借方 金額 貸方 金額
繰延税金資産 40  法人税等調整額 40①

①100(固定資産売却益)×40%
連結 未実現1-2(売却益)調整額 一致

これで法定実効税率をかけたものと一致しました。




非支配株主持分負担

連結修正仕訳による損益変動分を、持株比率で非支配株主に振替
費用100(固定資産売却益の減額)-費用40(法人税等調整額)=利益60
利益60に支配株主持分割合20%を非支配株主持分に増額します。

借方 金額 貸方 金額
非支配株主損益 12① 非支配株主持分当期変動額 12

①60×20%=12
連結 未実現1-3(売却益)調整額 振替




減価償却費の減額

子会社は、決算で機械200に対する減価償却を行いました。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 40① 減価償却累計額 40

①機械200÷5(耐用年数)=40
しかし、そのうち100は親会社が利益として乗せた分でありました。
そのため機械100で減価償却を行うべきであります。

本来の仕訳

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 20① 減価償却累計額 20

①機械100÷5(耐用年数)=20

下記の仕訳により修正仕訳を行います。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 20① 減価償却費 20




法人税等調整額の計上(減価償却費の消去分)

法定実効税率をかけたものと不一致
連結精算表の税引後当期純利益が272と、税引前当期純利益に法定実効税率40%をかけた税引後当期純利益264と比較すると不一致が生じています。
これは連結修正により、費用の減額したにもかかわらず、法人税等はすでに会社別で確定しているため、変動しないことから不一致が生じています。
連結 未実現2-1(減費)調整額 不一致



定実効税率をかけたものと一致
一致させるためには、法人税等調整額を計上します。

借方 金額 貸方 金額
法人税等調整額 8① 繰延税金資産 8

①20(減価償却費)×40%
連結 未実現2-2(減費)調整額 一致

これで法定実効税率をかけたものと一致しました。




非支配株主持分負担

連結修正仕訳による損益変動分を、持株比率で非支配株主に振替
小数点以下は切捨。
収益20(減価償却費の減額)-費用8(法人税等調整額)=利益12
利益12に支配株主持分割合20%を非支配株主持分に増額します。

借方 金額 貸方 金額
非支配株主損益 2① 非支配株主持分当期変動額 2

①12×20%=2.4→2
連結 未実現2-3(減費)調整額 振替



次ページで翌期(3期目)を見ていきます。
当期末仕訳が翌期首仕訳で変わっていくところを注目してください。