第1節 減価償却資産の範囲
第1款 減価償却資産
(活動休止資産)
7ー1ー3
稼働を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては、減価償却資産に該当するものとする。
(注)他の場所において使用するために移設中の固定資産については、その移設期間がその移設のために通常要する期間であると認められる限り、減価償却を継続することができる。
(建設中の資産)
7ー1ー4
建設中の建物、機械及び装置等の資産は減価償却資産に該当しないのであるが、建設仮勘定として表示されている場合であっても、その完成した部分が事業の用に供されているときは、その部分は減価償却資産に該当するものとする。
第2款 少額の減価償却資産等
(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
7ー1ー11
令第133条 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入又は令第133条の2 一括償却資産の損金算入の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引きされるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では昨日を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。
一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い
7ー1ー13
法人が令第133条の2第1項 一括償却資産の損金算入に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を事業の用に供した事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)後の各事業年度においてその全部又は一 部につき滅失、助客等の事実が生じたときであっても、当該各事業年度においてその一括償却資産につき損金の額に算入される金額は、同項の規定に従い計算される損金算入限度額に達するまでの金額となることに留意する。
(注)一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても、同様とする。
<参考>
租税特別措置法関係通達(法人税編
第67条の5<中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例>関係
(少額減価償却資産の取得価額の判定単位)
67の5ー2
措置法第67条の5第1項の規定を適用する場合において、取得価額が30万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単位では機能を発揮できないものについては一つの工事等ごとに判定する。
第3節 固定資産の取得価額等
第1款 固定資産の取得価額
(高価買取資産の取得価額)
7ー3ー1
法人が不当に買い入れた固定資産について、その買入価額のうち実質的に贈与をしたものと認められた金額がある場合には、買入価額から当該金額を控除した金額を取得価額とすることに留意する。
(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)
7ー3ー3の2
次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。
(1)次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
二 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2)建物の建設等ために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3)一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額
(土地とともに取得した建物等の取壊費等)
7ー3ー6
法人が建物等の存する土地(借地権を含む。以下7ー3ー6において同じ。)を建物等とともに取得した場合又は自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は、当該金額を控除した金額)は、当該土地の取得価額に算入する。
(借地権の取得価額)
7ー3ー8
借地権の取得価額には、土地の賃貸借契約又は転貸借契約(これらの契約の更新及び更改を含む。以下7ー3ー8において「借地契約という。)に当たり借地権の対価として土地所有者又は借地権者に支払った金額のほか、次に掲げるような金額を含むものとする。
ただし、(1)に掲げる金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで建物等の取得価額に含めることができる。
(1)土地の上に存する建物等を取得し場合におけるその建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額。
(2)賃借した土地の改良のためにした地盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用の額
(3)借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額
(4)建物等を増改築するに当たりその土地の所有者等に対して支出した費用の額
第6節の2 リース資産の償却時
(第1款 所有権移転外リース取引に該当しないリース取引に準ずるものの意義)
7ー6の2ー1
令第48条の2第5項第5号<所有権移転外リース取引>に規定する「これらに準ずるもの」として同号に規定する所有権移転外リース取引(以下この節において「所有権移転外リース取引」という。)に該当しないものとは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1)リース期間(法第64条の2第3項<リース取引の範囲>に規定するリース取引(以下この節において「リース取引」という。)に係る契約において定められたリース資産(同条第1項に規定するリース資産をいう。以下この節において同じ。)の賃貸借期間をいう。以下この節において同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リースをすることがリース契約(リース取引に係る契約をいう。以下この節において同じ。)において定められているリース取引(リース契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められているものを含む。)
(2)賃貸人に対してそのリース取引に係るリース資産の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引
第4款 その他
(賃貸借期間等に含まれる再リース期間)
7ー6の2ー13
令第48条第1項第6号<旧国外リース期間定額法>に規定する「賃貸借の期間」には、改定前リース取引(同号に規定する改正前リース取引をいう。以下7ー6の2ー15において同じ。)のうち再リースをすることが明らかなものにおける当該再リースに係る賃貸借期間を含むものとする。
令第48条の2第1項第6号<リース期間定額法>に規定する「リース期間」及び令第49条の2第1項<旧リース期間定額法>に規定する「改定リース期間」についても同様とする。
第8節 資本的支出と修繕費
(資本的支出の例示)
7ー8ー1
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。
(1)建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る費用の額
(2)用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(3)機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の額
(注)建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(修繕費に含まれる費用)
7ー8ー2
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
(1)建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再構築するものに限る。
(2)機械装置の移設(7ー3ー12<集中生産を行う等のための機械装置の移設費>の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3)地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用を除く。
イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
(4)建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の侵害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。
ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5)現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(形式基準による修繕費の判定)
7ー8ー4
一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1)その金額が60万円に満たない場合
(2)その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(注1)前事業年度前の各事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当するものがある場合には、当該連結事業年度)において、令第55条第4項<資本的支出の取得価額の特例>の規定の適用を受けた場合における当該固定資産の取得価額とは、同項に規定する一つの減価償却資産の取得価額というのではなく、同項に規定する旧減価償却資産の取得価額と追加償却資産の取得価額との合計額をいうことに留意する。
2 固定資産には、当該固定資産についてした資本的支出が含まれるのであるから、当該資本的支出が同条第5項の規定の適用を受けた場合であっても、当該固定資産に係る追加償却資産の取得価額は当該固定資産の取得価額に含まれることに留意する。
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
7ー8ー5
一の修理、改良等のために要した費用の額のうち資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(7ー8ー3又は7ー8ー4の適用を受けるものを除く。)がある場合において、法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(注)当該固定資産の前期末における取得価額については、7ー8ー4の(2)の(注)による。